全部、私からだった。

散々私を翻弄しておいてから、りっくんは不意に親指を抜き出し、それを自分の口にくわえた。



そして、くわえたまま、

「間接キス」

と、意地悪に笑う。



「酷い!」


ムカッときて思わず叫ぶと、その反応を予想していなかったのか、りっくんは驚いて目を見張る。



「ごめん、ごめん多恵。ふざけ過ぎた、悪かった」


りっくんは慌てて謝った。



でも、謝ったってもう遅いんだから。

この悶々とした気持ちをどうしてくれるのよ?