全部、私からだった。

「りっくん、どうして?」


「何が?」


「今、キスする流れだったのに」


「そうだっけ?」


りっくんは笑って誤魔化そうとする。



「私たち、付き合ってるんだよね?」


「うん」


「じゃ、キスするのって普通だよね?」


「そうか?」


「じゃあ、じゃあ――

普通じゃなくてもいいから、キスしてよ!」



りっくんは、困り果てたような顔でじいっと私を見詰め、少しの間、何か考えているようだった。