全部、私からだった。

「さすがに腹、苦しい」

隣の私を見下ろして、照れた笑いを浮かべて言った。


顔がすごく近くて。心臓がバクバクと騒ぎ出した。



今、キスして欲しい。

これ、絶対キスするタイミングだと思うんですけど。


そう念じながら、顔の燃えるような熱さを堪えて、りっくんをジッと見詰めた。

りっくんもしばらくの間、私を見詰め返してくれていた。



嗚呼――

ただ見詰められるだけで、なんだか夢心地だ。



けれどりっくんはフイと視線を逸らし、

「そうそう、デザート、どうする?」

わざとらしく話を戻す。



もう。

美味しくて有名なバニラアイスなんか、今の私にはどうだっていいのに。