――という訳で。
私、谷口くんの隣に座ったのだけれど、相変わらず谷口くんは私の方なんか見向きもしないのだ。
ただひたすら、飲んで食って。
なんなの?
一番モテそうにない私を気に入ったとか言って、誤魔化しただけなんじゃないの?
酷いよ。
『可愛い』って言われて、ちょっと喜んだりした私がバカだった。
それにしても、良く食べるなぁ。
見ていて気持ちが良いから、まぁ、良しとするか。
谷口くんの豪快な食べっぷりをボーっと眺めていたら、不意に彼がこちらを向いた。
ビクンと心臓が跳ねる。
よくよく見てみれば、この人、顔のつくりは良い。
もちろん、ワイルドだけど。



