「……ふぁ……佐…々く……」


「言えよ。なに聞いたって、手放したりなんかしねぇよ」



――なに、を?……



よくわからないまま、ぼんやりと見つめた視線の先に、



――……パパと、…ママ?



……が、見えた気がした。


アレ?いつの間に、また寝ちゃったんだろ。

これ、さっきの夢の続きだよね?

…って、思って、


でも、変なカンジ。

ママは微笑んでるんだケド……なんだかパパはちょっと不機嫌そうで……



ねぇ……ママ、

ママはパパと出会って、幸せだった?

すごく辛そうだったデショ?

剣菱のお家に行った帰りは、いつも酷く辛そうだったデショ?



問いかけたところで、夢の中のパパとママが、答えてくれるわけもなくって、

でも、夢だからこそ、

なんでもいいから返事が欲しかった。



ねぇ、パパは?

「剣菱」の跡取りだったのに……

ダメになっちゃったのに……

ママと別れたいって、思わなかったの?



「……佐々…くん」



吐息と一緒に、唇から名前がこぼれ落ちた。