「疲れたぁ!」


部屋に運び終わったときには

わたしもお姉ちゃんも

疲れきっていた。


「何か飲みたーい。

もらうわよ、本郷くん」

『そんな勝手に……』


冷蔵庫の中からお茶を出して

なに食わぬ顔で飲むお姉ちゃん。

しばらくすると

お姉ちゃんが口を開いた。


「深久の話し、聞いてたでしょ?」

『あ……うん』


別れた話しを

お姉ちゃんにしたのは確か。


「聞くまでは

ほんとに何も知らなかったの。

でも、だんだんどっかで

聞いたことあるような人だなと

思い始めた。

それが……本郷透。」