《さようなら》 とだけ書かれた紙と、 その上に置かれた、この部屋の鍵。 机のすぐ側の壁にかけてあった カレンダーには、 《1年記念日》と書かれた上に バツ印が書かれていた。 今日は、いや、正確には、昨日は、 俺と深久が付き合って 1年目の記念日。 『12日の夜8時にいつものとこ』 思い出した、深久の言葉。 鍵が物語る現実。 「ここに……来た?」 冷たく光る鍵から目が離せなった。 *