時計のアラームがなっている。
まだ重いまぶたを上げアラームを止めて顔を洗いに洗面所に行く。洗い終わり、顔を上げ鏡を見る。
日課の1人自己紹介を始める。


「坂本綾人(さかもと あやと)です。神学(しんがく)高等学院1年の17クラスです。」


静かな洗面所に自己紹介の声だけが響く


「入学してから3ヶ月経ちました。生活も落ち着いて日常が戻ってきました。」


誰も聞いていないのに現状報告も追加して言った


「よし、今日も大丈夫だ。朝飯食べて、今日は早く寮を出て教室に行くかな。」


神学高等学院は全寮制で日本各地の高校が集まった学校だ。


クラスは1〜30まで有り、成績がいい生徒が上のクラスに上がれる規則があるらしい。
だけど、その方法はまだ教えてもらってないな。


そんなことを思い出しながら歩いていると、


「綾人ーーー!」


後ろから声がした。
俺は振り返り、


「おっす!、総一」


「おう!、綾人」


コイツの名前は草壁総一(くさかべ そういち)
入学式のときに馴れ馴れしく話しかけてきた男だ。

だけど、今はその出来事があったおかげで親友と呼べる友達にまでなった



「お前、今日も自己紹介の練習してたの?」


不意に総一が聞いてきた。


「練習したけど」


不機嫌ぎみに俺が答えた。


「まだ、気にしてるのかよ」


総一は笑い始めた。


「別にいいだろ!」


俺は怒鳴った。


実は、自己紹介の練習を始めたキッカケは入学式が終わった後の自己紹介だった。


皆さんにもないだろうか?


クラスの皆に自分の自己紹介をするとき頭が真っ白になり、めちゃくちゃな事を言ってしまい爆笑の嵐が巻き起こったことが。


俺は同じことを起こさないように毎日の自己紹介は欠かさない。


「そう怒るなって」


笑いながら俺をなだめる。


「あ、俺こっちだから」


そういえば、総一は1クラスだったな。
俺よりかなり優秀なんだよ。

くそっコイツに負けてると思うとムカついてくる。


「そう怒るなよ、またな」

そう言って総一は自分のクラスに入っていった


「またなー」


俺も自分のクラスに入った。