桜が咲く頃に…。



「…うわぁぁ…ッ…」


自分でも分からない。

何で…こんなに涙が込み上げてくるのか…。




そうちゃんの主治医は、そうちゃんの手首に手を当てた。




「残念ですが…午前7時26分…ご臨終です」




そうちゃんの胸から離れようとしない、あたしの肩を優しく包んでくるのは…。

おばさんだった。



「…ッ…グスッ…遥奈ちゃ、ん…ありがとう…颯太のこと…愛してくれてぇ…本当にありがとうねぇ?…ヒック…」

「…うぅっ…そ、う…ちゃぁん…」


「…もうッ…もう、休ませてあげよう?……ごめんね…遥奈ちゃ、ん…もう…許してあげて…颯太を休ませてあげてぇ?」




おばさんの顔は、涙でグチャグチャだった。