桜が咲く頃に…。



おばさんの涙が、あたしの肩に落ちた。

その時…泣いてることが分かった。



おばさんは、こう言ったんだ。



「今まで…黙っててごめんなさいね…本当に…本当に…」


おばさんの切ない声に、あたしも涙が出そうになった。



「…颯太は…ッ…末期の…胃ガンだった……あの子…病気になってから…急に大人しくなって…笑わなくなった……遥奈ちゃんのこと…ッ…いつも気にしてるの…」


え?あたしのこと?



そうちゃんが、あたしのことを気にしてるだなんて、思わなかったよ。



「…遥奈ちゃんが…来てくれたらって…いつも思ってた…ッグスッ…颯太に…会ってくれないかしら?…」



あたしは、頷いた。



そうちゃんが、あたしを必要としてくれてるなら…。


こんな、あたしのことでも…必要としてくれてるなら…。



そうちゃんのために…。



そうちゃんの役に立ちたいと思った。