私、千堂凜の働くところは名高い名門一家城咲家のメイド。元々不良だった私が何故名門で働けたかというと…、



「よう。働いてるか?凜」
『消え失せろくそご主人』
「相変わらず冷てぇな」



この家の息子、城咲卓人に気に入られたからである。だがひとこと言わせてもらう。


私はこの男が大嫌いだ。



『大体朝っぱらから絡むな「千堂さんっ!!」Σうわっ!?』
「主人になんて口を利くのですか!!」
『すいませーん…』



この口煩いおばさんはメイド長。入って早々に目をつけられいつも怒鳴ってきなさるかた。



『お仕事中ですのでこれで失礼します』
「待て」
『触るな変態』
「誰が変態だ」



綺麗に整った顔と高い鼻。茶色が混じった髪色…世に言うイケメンだが私は嫌いだ(2回目)。



「夏休み欲しくねぇか?」
『ご主人と離れられるならぜひ』
「俺と別荘行かね?」



数秒前の私の台詞はきっと彼の耳には届いていない。



『誰が行くかっ!!』
「じゃあ海な。明日行くぞ」
『ちょっ』










主人は嵐のように去っていった。そして背中から感じる視線が恐ろしく痛い。



『な…何か、御用ですか?聖羅様』








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