「お帰りなさい」
リビングからいつものようにお母さんの声が聞こえた。
何だか、こんな些細なことが今の私にとって胸を熱くさせた。
だから、自然とお姉ちゃんとの関係もいつも通りに戻っていると思い込んでしまった。
ここまで、今までと何一つ変わってなんかいないんだから………。
何故かそう思えるだけで強気で居られた。
しかし、現実はそう甘くはなかった。
その日もお姉ちゃんは遅くに帰ってきた。
私は自分の部屋からお姉ちゃんの様子を伺っていた。
何だか、いつもよりは元気がなさそうだけど、昨日のような態度ではなさそうだった。
そこで、私はきっと昨日はとっても不機嫌だったんだと思った。
そして、お姉ちゃんが自分の部屋に入るドアの音が聞こえた。
その時、私は自分の部屋を抜け出してお姉ちゃんの部屋の前に立った。
昨日のことは忘れよう………。
そう思い、お姉ちゃんの部屋のドアをノックした。

