…………
………………疲れた。
「わぁっ、もうこんな時間だ!」
“暴走”するくるみを何とか説得して、引き剥がすことに成功したのはついさっき。
ようやく“いつもの”調子に戻った本人は、いそいそと帰り支度を始めている。
……まったく。
そりゃ、俺だって男だし?
“好き”だし、
“彼女”だし?
止める必要なんてないよ、本当は。
あのまま流されたって、別に構わなかった。
でも、さ……
“まだ”なんだよなぁ。
俺の中では“まだ”なんだ。
キスはする。
キスはしたい。
でも、その先は……
“その先”を知ってしまったら、俺は絶対に戻れなくなる。
放せなくなる。
だから、“まだ”無理。
そんなふうに思ってしまうのは、たぶん……
“自信”がないんだ。
心のどこかで、まだ信じきれていないから。
疑っているから。
くるみの気持ち、を――
「ねぇ、新ちゃん?」

