コンプレックス*ラヴァー




「……あーあ、負けちゃった。」



残念そうだけど…当たり前だ。


この状況で、俺が冷静に教えられるわけないじゃん。


さっきから、意識はゲームじゃなくて……

すぐ傍にいる…くるみにあるんだから。



「もう1回、やる?」



覗き込んでくる瞳は無邪気……とは到底言い難い。


熱を帯びた視線。

上目遣いで。

ねだるように、
促すように。



……この子は。


無邪気を装いつつも、こういうことができちゃうからスゴイ。

って言うか、怖い。


最初は気づかなかったけど、よくよく考えたらとんでもない“小悪魔”だ。


だって、さ……



「……っ」



俺だって、学習した。


これが、くるみの言う“タイミング”。


くるみが作り出した“ムード”ってやつ。


だから……


そっと顔を近づけた。


満足気にふわりと微笑んでから、目を閉じるくるみ。


そして

どちらからともなく重なる……唇。



甘い甘いキスは

これで何度目だろう?