「……えーと、」
くるみを誘い出したことに安堵したのも束の間。
「ここで…やるの?」
「うんっ!」
くるみは機嫌よく笑ってるけどさぁ……
「早く教えて?」
振り返った顔の近さにたじろぐ。
だって……
今のこの状況。
ゲームをするには不自然だろう……?
「新ちゃん?」
首を傾げて俺を覗き込むくるみの顔は、少し前屈みになれば触れそうな距離にあって。
「もしかして、くるみ重い?大丈夫?」
言いながらも、絶対にどかないであろう…くるみが座っているのは俺の膝の上。
「これ、ちゃんと新ちゃんが操作してね?」
コントローラー。
直に握っているのはくるみだけど、その上に無理矢理重ねさせられた俺の手。
俺は今、
くるみを後ろから抱きしめるみたいに座っている。
嫌でも感じる体温。
早鐘を打つ鼓動。
鼻をくすぐる香り。
……あり得ない。
こんなんでゲームなんてできるかっ!
「新ちゃん、早くーっ」

