コンプレックス*ラヴァー




「ごめんって。もう少しだから、待ってて?」


ようやく一段落ついて、声の主をちらっと振り返ってみれば……


「……ホントに?」


疑うような眼差しを向けられてしまった。


「ホントホント。」


言いながらも、聞こえてきたメロディに慌てて画面へと向き直る俺。


いけない。いけない。
ここが勝負だ。



「絶対ウソだぁっ。新ちゃんのバカぁっ」



言葉が発せられると同時に、背中にボフッと小さな衝撃。


……投げたな?


それはおそらく、さっきまで彼女が抱き締めていた“くまさん”だろう。


明らかにこの部屋に不似合いなそれは、この前俺が取ってやったもので。


そのまま、ここ…俺の部屋に定住することになってしまったぬいぐるみ。



「もう、いいもんっ。くるみ、お昼寝するからっ」



起こさないでね、と言わんばかりにベットに潜り込む…って、

さっきから我が物顔で占領してるそれ、俺のだし。


そもそも……



「……くるみがいけないんじゃん。」