教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~

そこまで言った。

翔君の気持ちはわかった。


そして、そう思ってくれたのは嬉しかった。


嬉しかったけど。


翔君の気持ちを受け取れるかと言ったら、話は別になってしまう。


あたしはやはり森田先生を愛している。


キスはしてしまったものの、こうしてみると翔君を1人の男性として見れない。


どうしてもお兄さんという風に見てしまう。


だから…。


「あたし…」


翔君とは付き合えない。


そう言おうとした。


その時だった。


あのレトロな音色のチャイムが鳴った。


チャイムは登校完了の時刻になったことを告げている。


あたしは言葉を続ける機会を失った。


下駄箱の方から慌てて教室に走っていく生徒が見える。


何も言えなくなったあたしはなんとなくそっちを見ていた。


「青葉、チャイム鳴ってるじゃないか。教室行くぞ」


森田先生が来て、あたしを翔君から引き離した。


そして教室へ足早に引っ張っていく。


先生、怒ってるのかな?


握られた右腕が痛い。


「先生、痛いから離して下さい」


「ダメだ」


「どうしてですか」


「ちゃんと俺がつかまえていないと、お前どっか他の男の所に行っちゃうからな」


「え…」


先生ってもしかして誤解してる?