アオイくんは一瞬ポカンとして、すぐに声をあげて笑いだした。
少し悔しくなってわたしは言い返す。
「そんなに笑わなくても、いいじゃないっ!」
余程おかしかったのかアオイくんは目元をごしごし擦って微笑んだ。
「ごめんごめん。ユイちゃんがかわいかったから。」
むーっとむくれているとアオイくんはわたしの手を取ってゆっくり歩き出した。
「あっ、アオイくん…?」
「お祭りの本部、行こう?お母さん来てるかもしれないし。」
アオイくんはわたしの怪我した足の歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれた。
―アオイくんの手、あったかいな…
わたしは、きゅっと繋いだ手を握りしめた。
