意外にもその本は面白く、気がつくと閉館時間の5時を少し過ぎていた。
鍵とスクバを持って立ち上がり、蓮田くんに閉館を告げに行く。
蓮田くんが見ていたのはどうやらバイトの求人紙のようだった。
よこにあるスマホにも求人のサイトが表示されているのが目に入った。
蓮田くん、バイトするのかな…。
「あの、」
声をかけると眠たそうな蓮田くんと目があった。
「なに?」
うわあ、近くで見たらますますかっこいいな。
睫毛は長いし、綺麗な二重瞼。瞳は少し茶色掛かっている。
「どうしたの?」
蓮田くんにもう一度言われてはっとする。
「閉館の時間なので…。」
