わたしは一度、祭のある方を振り返ってから神社へゆっくり歩き出した。 社の前に来た瞬間。 ザァァ…ッ 突風がわたしの花の髪飾りを飛ばす。 「あっ…!」 風に乗ってどんどん飛んでいく。 花はくるくる回って境内 裏の木の生い茂った葉の上に着地した。 ―風が止んだ。 わたしははっとしてその木のもとに駆け出した。