「結衣さぁん、去年は何人に告白されたんだっけ〜?」



呆れて、陽菜乃のニヤニヤ顔から逃れるように窓の外に目をやった。



丁度わたしたちの降車駅の1つ前だった。



ふと向かいのホームを見ると高校生くらいの男の子と目があった。



正確には、遠いため目があったかもしれない、という程度だった。




彼はフェンスにもたれて電車を待っているようだった。ポケットに手をつっこんで空を見上げている。




「ねー、陽菜乃〜。」



「ん〜?」



陽菜乃はスマホから目を離さずに返事する。



「あの人、かっこよくない?」