10年前… ピンク色の浴衣を着た7歳のわたしは見事に迷子になっていた。 しっかりと手を繋いでいたはずのお母さんといつはぐれたのかも分からなかった。 気付いたら、人波に流されて人気のない神社の前に1人ぽつんと立っていた。 ざわ… 風が境内の裏の木々を撫で、擦れた葉が音を立てる。 近くでは祭を楽しむ人たちの声がしている。 お母さんを探さないと。 そう思う反面、満月に照らされた神秘的なその神社が無性に気になった。