「よかったね。」


と、おじさんが声をかけてくれた。



わたしは小さく頷いてアオイくんにお礼を言おうと振り向いた。




「あ、れ…?」



さっきまでそこにいたアオイくんの姿はなくなっていた。



「結衣、どうしたの?」



お母さんの問いかけにも答えることは出来なかった。



「アオイくん…?」



いくら探してもそこにあるのは祭の騒々しさだけだった。



アオイくんと繋いだ右手はまだ少し温かかった。