競技が始まって、あたしは前から五列目。

でも、全然集中できなくて。


気づいたら、自分の番だった。


「よーい」


──バン


スタートの合図で、あたしは精一杯走りだす。

最初の網の障害物をくぐり抜けて、けん玉を落とさないように走る。

そして、さいごの障害物、ハードル。



あたしの後ろ一人いて、あたしは精一杯その人に抜かれないように走る。

「ぁ」

え……?

後ろの人が小さな声でそう言ったとき、後ろのハードルがあたしの方へと倒れる。

あたしはそのハードルで前に倒れてしまい、後ろの人も、あたしの方へと倒れてしまった。


いた……ッ。

足首に激痛が走ったとき、周りには先生や生徒があたしたちを囲んでいて。

でも、そんな中……




「舞っ!!!」




翼くんの声が、一番に耳に届いた。