「さっきの会話聞いたよ……ッ。何考えてんのっ?!
あたしたちが、仲良くしてあげるって……ッ」
あ……。
『そ、そんなことないっ。その、仲良くさせてもらってて……』
「あんた、あたし達と一緒にいる時、“申し訳ない”とかでも思ってたのっ?!」
「だ、だって」
あたしと、若葉ちゃん達は……全然、違う。
「〜ッ、バカっ!!! あたしたちが……ッ、
同情して一緒にいたと思ってんの……ッ?!」
若葉ちゃんは、目にうっすら涙を溜めている。
「そう思ってんなら、大バカものだよっ!!!
今まで、翼の何を見てたわけ……ッ?」
若葉ちゃんは「それだけ」と言って、あたしの横を走って行ってしまった。
左の頬が、まだヒリヒリする。
『障害物競走に出る人は今すぐ西側の入り口に集まってください』
そんな生徒の校内放送が聞こえて、あたしは、ゆっくり歩き出す。