「来てくれてたんだ」

「うん……」

「もうすぐストレッチ終わるから。みんなで帰ろう」

「ううんっ。あたし、用事あるんだっ」

「そっか……。じゃあ、また明日ねっ」

「うん……っ」

用事なんて、嘘。

本当は、気まずくて、なんて言葉をかけたらいいのかわからなかったから。


あたしは、ゆっくりと、出口へと歩く。

そして、思わず足を止めた。


体育館の裏に、翼くんが寄りかかっていた。


「ちくしょ−……ッ、ちくしょう……ッ」


7番のユニフォームを着て、肩を振るわせている。

そんな翼くんの姿を見て、あたしの瞳から涙が溢れ出した。


悲しいとか、そんなんじゃない。


ただ、ただ……






悔しいんだ。