その点差は埋まらず、2ピリ以降は翼くんは出ていなかった。
それでも、点は開く一方。
「まぁ、得点源が悟史だけだからな。他の奴は相手よりスキルが劣ってる」
あたしは、ずっと手を合わせてギュッと握り続けていた。
そして、
──ピーーー
試合終了の音が、鳴り響く。
「んじゃーな、舞チャン」
敦くんはそれだけ言って、あたしの隣から去って行った。
あたしは、しばらくそこから動けずにいて。
ゆっくりと、下へと歩く。
外には、みんながストレッチをしていた。
「舞……?」
声がした方を見ると、若葉ちゃんが目を丸くしている。
若葉ちゃんの目元……少しだけ赤い。