「……敦くんは、翼くんを嫌いなの?」
「嫌いだね」
「……なんで?」
「俺の夢をぶっ壊したから」
「違う」
「……なんでそう思う?」
「だって、嫌いな人をライバルなんて思わないでしょ?」
敦くんは目をまん丸にして、そしてフッと笑って「おもしろいこと言うね」と言った。
「敦くんは……本当は、羨ましい、んじゃないの? 翼くんの、才能が」
「……おもしろいなぁ、君は。まさか、クラスの委員長サンに、見破られるとはねっ。
……バスケでのクロスプレーなんて、よくある話だ。んなことでキレてたら、バスケなんてやってらんねーっつーの」
「どうして……」
怒ってるフリを、するの?
敦くんはフッと笑って、真っすぐな目で言った。
「気に食わないから」

