優斗くんに教えてもらった階段を上がれば、体育館の周りを椅子がずらっと並んでいた。
オリンピックで、バレーボールの試合みたいで……。
あたしは、一番前の席に座る。
翼くん達の試合は、この試合の後だ……。
目の前の試合は84対66で、あと2分で試合終了。
もう、勝ち進むチームは決まっているような感じだった。
──ブーーー
試合終わりの合図が会場に響きわたる。
「礼っ!」
「「ありがとうございましたっ」」
あ……お互いが挨拶をした後、負けた方のチームの一人は、泣き崩れていた。
……あの人たちは、どれだけ練習してきたのかな。
勝ったチームより、練習、してたのかもしれない。
あたしは、ゆっくり目を閉じて、手をギュッと合わせた。
彼らの努力が、どうか、どうか……
実りますように。