「んじゃ、俺こっち」

「ぁ、ばいばい」

別れ際、悟史くんは「そーだ」と思い出したように呟いた。

「いーんちょーには、教えとこ。俺のトップシークレット」

「え?」


悟史くんは、あたしの耳元で、小さく囁いた。





「俺にとっての女は、若葉だけなんだ」






耳から顔を離すと、悟史くんは人差し指を唇に近づけて「秘密なっ」とイタズラっぽく笑った。

悟史くんは両手で大きく手を振って、帰って行った。

そんな悟史くんを見て、あたしは小さく笑った。