「……俺の夢はインターハイ優勝」
「バスケット選手、じゃなくて?」
「NBAプレーヤー? ふははっ、俺は翼と違って現実みてるかねっ。ぁ、別に翼の夢をバカにしてるわけじゃねーよ? あの身長でその夢を持つっつーのは、尊敬してるし。
俺はさ、もっと自分の世界を広げてみてーんだ」
「自分の、世界……?」
「そ。俺等まだ17のガキンチョだぜ? これからいろんなことをまだまだ知れると思うんだ。バスケもすげぇ楽しいし好きだけど、これから知っていく中で、もしかしたらもっと好きになることができるかもしれない。
俺は、自分の限界をバスケで終わりにしたくない」
悟史くんは、真っすぐな瞳でそう言った。
いつもおちゃらけて、ふざけてる悟史くんとは別人で、すごく、かっこ良くて。
「だから、今のトコはインターハイ優勝っつーこと。
いつか、もっとすげぇ夢言ってやるから、楽しみにしとけっ!」
ニッと笑う悟史くんを見て、あたしは小さく吹き出した。
「うんっ、わかったっ」
あたしがそう答えれば、いつもの悟史くんの笑顔を見せた。