「敦が始めて、4人がバスケバカになっちったっ」
「……」
「中三の総体の話は、翼に聞いたんだろ?」
「……うん」
「んじゃ、金里のキモチも気づいたんだ」
「……うん」
「……ちっせぇ頃から見てるけど、あいつはずっと翼を追ってんだ」
やっぱり……。
悟史くんは「一途だよなぁ」なんて苦笑いをした。
「……ねぇ、悟史くん」
「んー?」
「……翼くんと悟史くんは、“若葉”って呼ばないんだね」
あたしがそう言うと、悟史くんは切なそうに笑った。
「いいとこつくな。……敦は、ずっと、金里に惚れてんだ」
だから……この前、あの人は“若葉”って呼び捨てだったんだ。
「翼も俺も昔から知ってた。だから、俺等2人の暗黙のルールっつーの? 中学からずっと“金里”って呼んでる」
「……そうなんだ」
あたしが、初めて男バスとファミレスに行ったとき、
『うち等はさ、基本的に名前呼びでさ』
その言葉が、心のどこかで引っかかっていたんだ。