「ぱ、パスミスか何かなの? それじゃあ、しょうが」
「違うよ」
翼くんは首を横に振って、ゆっくりと話す。
「大会一週間前にさ、練習でクロスプレーをしちゃったんだ。敦と……俺。そんときは、別のチームでゲームしてて、俺がドライブで突っ込んだときにあいつとぶつかって……膝を、やっちまったんだ」
「ひ、ざ……?」
「……うん。簡単に言うと膝の複雑骨折……かな」
「えっ……」
「もちろん、一週間後の大会には間に合わない。敦をかけた俺たちはベスト8にも入んなかった。チームメイトは何も言わなかったよ。でも……敦は、当たり前だけど、キレてさ」
『お前のプレーの所為で、俺は試合に出れなかんだよっ!!!』
『んなプレーすんなら、やめちまえよ!!!』
あたしは、思わず両手で口を覆った。
「……昨日の言葉も、当たり前なんだよ」
『翼、俺は一昨年のことまだ許してねーから』