「バスケ上手い子なの?」
「おぅっ! 俺がガードで、悟史がセンター。んで、敦がフォワード! すげぇ、心強かった!」
「へぇ、じゃあ、中学のバスケ部って強かったんだ」
「おぅ! 県総体の優勝も夢じゃなかったし! 全国優勝だってできたと思う!」
ニッと楽しそうに話す翼くんは、急に「でも」と悲しそうに喋った。
「?」
「夢だったんだよ。俺たち3人で全国優勝」
「うん」
「……その夢を、あいつの、敦の夢を、
俺は壊しちまったんだ」
翼くんは、静かにそう言った。
あたしは、目を丸くして驚くことしかできなくて。
ただ、静かに風が吹いた。

