「あいつはさ、人一番優しくて、人一倍お人好しな奴だからさ。
……不器用なくらい、キモチのコントロールが下手なんだよね」
三人で、駅への道を歩きながら、若葉ちゃんはゆっくり話す。
「自分が悪くなくても、悪いって思っちゃって。何度あたし達がフォローしても、あいつは、自分の中じゃ許せてないみたいっ。
だからさ、舞が言葉かけてあげて。
たぶん舞の言葉なら、あいつ……動くかもだから」
「そ、そんな……む、無理だよっ」
「舞」
若葉ちゃんの瞳が、あまりにも真っすぐで、切なそうで……あたしは「うん」と頷くしかできなかった。
……若葉ちゃん、本当は、
自分が……翼くんの背中を押してあげたいんじゃないのかな?
あたしは、密かに、そう思った。