「何かする? お前らがそれ言えんの? なぁ、翼」

「……ッ」


翼くん……?


翼くんはそっぽを向いて、拳を強く握っている。


「翼、俺は一昨年のことまだ許してねーから」


岡田敦くんは、そう冷たく言い放って、「んじゃ、二回戦で」と片手で手を振って行ってしまった。

「翼、気にすんなよ。あれはお前が悪いんじゃない」

「……ん、わかってる。

……俺、体育館寄るから、先行くな」

翼くんはそう言って、走って行ってしまった。


「ったっく……嘘が下手な奴」

悟史くんはため息まじりにそう言った。

「ほんと……。ねぇ、舞」

「な、に……?」





「翼の背中、押してあげてねっ」





若葉ちゃんは、切なそうに笑って、そう言った。