教室を出れば、悟史くんが「つーばーさー?」といつもの大きな声で翼くんの名前を呼んでいた。
翼くん……顔、赤かったけど……大丈夫、かな??
そんなことを思いながら、あたしは職員室に美術室の鍵を取りに行った。
「つばさってばー」
「うっせー」
「なんで、そんな顔あけーんだよ」
「うっせーって。
……あんな顔、急に見せられたら赤くにもなんだろ」
「はぁっ?」
「意識したことない子の笑顔見ると、不覚にもドキッとするもんだな」
「……お前、大丈夫?」
「あーやべー……」
廊下で、こんな会話がされてたのを知らずに。