涙が止まって、落ち着いたのはもう下校時刻ギリギリだった。
窓の外を見れば、若葉ちゃん達が歩いている。
あたしも帰ろう……。
美術室のドアに鍵を閉めて、職員室に向かおうとすると、体育館の方からボールの音が聞こえて来た。
気になって、体育館を覗くと、
翼くんがシュートを打ってる姿が。
ボールが……たくさん床に転がってる。
若葉ちゃん達は、とっくに帰ってる。
いつから……シュート打ってたんだろう。
『不可能だろーが、絶望的だろーが、俺は夢を捨てたり絶対しない』
……あたし、何やってたんだろう。
彼と比べれば、あたしなんて、全然報われてる。
あたしは、職員室まで全力疾走。
美術室の鍵を返して、急いで階段を駆け下りる。