「描けるんだろ、絵」
「うん……」
「んじゃ、描けよ。前の絵じゃなくて、今の絵で、
夢を目指せばいーじゃん」
子供っぽい笑顔で、えくぼを作って、あたしの頭を優しく撫でる。
「いーんちょう、手、貸して」
あたしはゆっくりと、右手を前に出した。
翼くんは、その右手をギュッと握る。
「俺は、この右手は宝物だと思う。才能だってあるって思ってる。
だから、信じてみろよ、自分の絵。
たぶん、舞が思ってる以上に、この右手は、すげぇ力もってる」
コツンと、優しくあたしの額に拳を当てて、ニッと満面の笑顔をみせた。

