日向くんは……緊張、しないのかな。
「翼ぁ、決まったー?」
「俺、ハンバーグ!」
「お前いっつもじゃんっ」
「好きなもん頼んでんだっつーの! いーんちょうは?」
「ぁ、えっと、お、むらいす……」
「おっけーっ! 矢野さん、オムライスだってっ!」
「んじゃ、ボタン押すぞー」
……思わず、好きな食べ物言っちゃった。
声、震えてなかったかな……。
「……ねぇ、舞」
「な、なに……っ?」
若葉ちゃんは、ニッコリと笑って言った。
「そろそろ名前で呼び合おーよ」
「……な、まえ?」
「そっ。あたしのことは“若葉”って呼んでるけど、他の奴らは名字よびで、“くん”付けじゃんっ? うち等はさ、基本的に名前呼びでさ」
「そーそー、こいつ、普通に俺等のことも名前で呼ぶしっ!」
そっか……だから、日向くんのことも名前呼びだったんだ。
そのことにどこか、心の中でホッとしている自分がいた。

