昼休みになって、あたしは鞄をもっていつもの美術室へと向かおうとして、教室のドアを開けると、奥の廊下から「矢野サーン!」とあたしを呼ぶ声が聞こえた。
振り返れば、金里さんが立っていた。
「ねぇ、お昼っていつもどこで食べてるの?」
「えっと、美術室で……」
「あのさ、よかったらあたし達と一緒に食べない?」
「え……?」
「2年生のバスケ部みんなで、いつも屋上で食べてるの! ねっ?」
「え、で、でも……」
「ほら、行こっ!」
「ぁ、ちょっ」
金里さんはあたしの手首を掴んで、屋上へと引っ張って行く。
え? えぇっ?
屋上のドアを開ければ、そこには10人くらいの男の子が輪になってお昼を食べていた。
お弁当の人もいれば、買い弁の人、購買のパンを食べてる人もいて。