「悟史から、聞いた?」
「うん……っ」
「笑えるだろ? 足は治ったけど、前みたいなプレーはできなくてさ。さすがにNBAプレーヤーは無理だから、コーチなんて」
「笑わないよ。だって、すっごい翼くんらしいもんっ!」
「……サンキュ」
翼くんは、ギュッと、あたしを抱きしめる。
……変わってない。
この温もり。この、心地よさ。
五年前と何も変わってない。
「……舞、覚えてるか。五年前、ここでのこと」
「うん。だから、今来たんだよ?」
「そっかっ。……こんな俺で、いいっすか」
「……翼くんがいい、です」
「ふはっ。うん、俺も、舞がいいっ」
翼くんは、そう、嬉しそうに笑った。