その日、あたしはゆっくりと若葉ちゃんと一緒に翼くんがいる病院に向かう。 「……若葉ちゃん、これ、翼くんに渡していいの、かな」 「?」 あたしは、若葉ちゃんに、美術室で高山くんにもらったメモを見せた。 「ちょっ、NYって……ニューヨークっ?!」 「……ッ」 「確かに、ここなら……。 ……でも、舞」 「うん……わかってる」 このメモを渡したら、翼くんはきっとニューヨークへと行ってしまう。 ニューヨークなんて、電車なんかで行けるわけない。 怪我が治るまで、どのくらいかかるかもわからない。