昼休み、あたしは美術室へと向かう。
あたしは、いつもの自分の席に座った。
来ないって、わかってる。
来るはずないって。
でも……
もう一度、彼がここのドアを勢いよく開けてくれるのを、待ってるんだ。
……一度だけで、いいから。
そう願った瞬間だった。
美術室のドアが、開く音が耳に届く。
あたしは、バッとドアの方を向いた。
「どーもっす」
「……高山、くん」
「……翼先輩の話、聞きました」
「……そっか」
高山くんは、あたしの前の席に座った。
頬杖をつきながら、あたしをジッとみる。
「その赤い目で翼先輩と会ってるんすか?」
「……変、だよねっ」
「泣くぐらいなら、別れればいいと思いますけど。俺、言いましたよ先輩に。
予選が終わったら、遠慮しないって」
高山くんは、真っすぐな目であたしを見る。