翼くんと話していると、気づいたらもう外は暗かった。
「あたし、そろそろ行くね」
「おぅ。いつもサンキューなっ!」
病室を出て、あたしは、静かに涙を流す。
これで、何度目だろう。
翼くんの前で泣かないと決めて、もうずっとだ。
この部屋を出ると、自然と涙が溢れ出してしまう。
今まで……何度も、翼くんに助けられた。
夢を諦めてしまったときも。
夢に進むための道を選ぶときも。
翼くんの、太陽みたいな笑顔に、何度も救われてた。
だから、今度は、あたしが救ってあげたいのに……何もできない。
そんな自分に、腹が立つんだ。
……翼くん、バレてないって思ってるの??
気づいてるよ。わかってるんだよ。
翼くんが……作り笑いしてることぐらい。