「……舞、俺の足、もう治んないってさ」
「……ッ」
知ってる、んだ……。
「今日、目を覚ましたときに聞いた。膝の故障だって。……激しい運動は控えましょう、だってさ」
窓を向きながら、明るい声で話す翼くん。
でも……その声のどこか、涙まじりで。
「……もう、夢はNBAプレーヤーなんて言えねーなっ」
翼くんは、あたしを見て、苦笑いをして言った。
そして、あたしの瞳から大粒の涙が溢れ出す。
言えない。言えない。
言葉が、見つからない。
『夢を諦めないで』なんて、言えない。
「泣くなよ、舞……」
言えないもどかしさ。
好きな人の、涙まじりの声。
それが、すごく……
切なかった。