……あたし、どうしたんだろう。 これじゃ、昔のあたしだ。 夢から逃げて、現実を見て、可能性から目を逸らしてた。 ……あたし、昔と何も変わってない。 ……けど、そんなあたしに、可能性を教えてくれた人がいる。 あたしは勢い良く立ち上がって、観客席へと走った。 翼くん……、翼くんは、あたしに魔法をかけたんだよ。 あの日……夏休み明けの美術室であの日から。 翼くんは、あたしに魔法をかけた。 前へと進ませてくれる、そんな魔法を。