「あたしさ、ずっと翼のこと追っかけてきたんだよねー。バスケ始めたの、4人の中であたしが最後だったんだ。


翼が始めたから、あたしもって」


「……うん」


楽しそうに、懐かしそうに、若葉ちゃんは話す。


「あいつってさ、不思議だよね。
クラスでも、部活でも、みんなの視線を集めちゃう。人の心を一瞬でもってちゃう。

……あんな何万もいるかもしれない会場の人たちの心まで。


すごいよね、ほんと。
NBAプレーヤーを目指してて、他の人の背中まで押しちゃうんだもん」


「……あたしも、そう思う。すごいよね」

「ねっ!

「あたし、あいつに恋したこと、後悔なんてしない。ふられたけど、絶対に後悔なんてしないよ。

だって、


あいつに惚れたこと、誇りに思えるんだ」





若葉ちゃんは満面の笑みで、そう言った。

その笑顔は、見た人を魅了してしまうんじゃないかってぐらい綺麗で。



すごく、切なかった。