担任のところに行けば、渡されたのは進路調査の紙。
「さすがになぁ、学年5位の生徒が専門学校っていうのは理由を聞かないといけなくてな」
「……行きたいからです」
「でもお前なら国公立の芸術科でも」
「そこの大学に、どうしてもいきたいんです」
翼くんと出会わなかったらこんなことは言わなかった。
あの日、美術室で会話をしなかったら。
翼くんに、背中を押してもらえなかったら。
たぶんあたしは、行きたいわけでもない国公立大学に進んで、
楽しくないことを淡々とやっていたんだと思う。
夢を諦めなくて良い、
誰も言ってくれなかった言葉を言ってくれた翼くんが、
やっぱりあたしは、大好きなんだ。