「……才能、か。バスケとかサッカーとかって、センスとか才能がやっぱある人とない人がいるのね。で、それが最も目立つのは、バスケなんだ」
「……っ」
「あたしはなかったよ。バスケの才能なんて」
「そんなの、わかんな」
「わかるよ。……試合をすれば、才能がある人とやれば、自分の才能のなさなんて、わかるんだっ」
切なそうに笑う金里さんを見て、思わず下を向いた。
「……試合、見てみな」
あたしはステージの横から、ほんの少しだけ顔を出して、試合を見た。
試合には、日向くんと春部くんがでていて。
日向くんは、一番トップの位置でドリブルをついている。
日向くんの前には、手を挙げて、日向くんと同じくらいの身長で、低く構えてる選手。
1つ、2つ、軽くドリブルをついたその後、ものすごいスピードで、ゴールへとドリブルをしていき、あっという間にボールがゴールへと吸い込まれた。
初心者のあたしじゃ、全然その過程は見えなくて。
目を丸くすることしかできなかった。

